デロイトトーマツに転職すると後悔する?理由や向いている人の特徴も
デロイトトーマツとは、世界4大監査法人(BIG4)の一角を占める「デロイト・トウシュ・トーマツ(DTT)」の日本グループに属する総合ファームです。監査・保証業務や税務・法務、さらにリスクアドバイザリーや戦略コンサルティングなどの幅広いサービスを提供しています。
デロイトトーマツは、日本における最大級のビジネスプロフェッショナルグループとしても知られており、さらなるキャリアの形成を目指して転職を考える人も多くいます。しかし、実際に転職した社員の中には「後悔した」という意見を述べる人も少なくありません。
そこで今回は、デロイトトーマツに転職して後悔すると言われる理由から、後悔する人・しない人の特徴まで解説します。最後に、デロイトトーマツの特徴についても紹介しているため、転職を希望している人はぜひ最後までご覧ください。
1.デロイトトーマツに転職して後悔すると言われる理由
日本最大級のビジネスプロフェッショナルグループとして知られるデロイトトーマツは、BIG4の中でもトップクラスの人気を誇っています。高年収であることはもちろん、社会的なステータスも高く、さらなるキャリアの形成に向けて転職を目指す人も多くいます。
その一方で、実際に転職した人の中には「後悔する」「やめておくべき」という声を挙げる人も少なからず存在することも実情です。そこでまずは、デロイトトーマツに転職して後悔すると言われる理由を詳しく紹介します。
1-1.ハードワークであるため
デロイトトーマツは、中小企業から外資系企業・大手企業、さらには公的機関までの幅広いクライアントを対象にさまざまなサービスを提供しています。各社員がもつ専門性を最大限に活用することを重要視しているため、複数のプロジェクトを同時に担当することも多々あるでしょう。
複数のプロジェクトに並行して対応する社員は、労働時間が長くハードワークになりがちです。特にクライアントへの報告会などを控えるプロジェクトの山場では、進捗状況によって終電近くまで残業したり休日に出勤せざるを得なくなったりする可能性もあるでしょう。
激務の結果として心身ともに疲労が蓄積され、体調を崩しやすくなってしまう点が、「デロイトトーマツへの転職は後悔する」と言われる主な理由です。
1-2.クライアントワークになるため
デロイトトーマツで働くコンサルタントの仕事は、基本的にクライアントワークとなります。自身がどれほど自信をもって生み出した成果物であっても、クライアントにとって満足のいくものでなければ厳しい指摘を受けてしまいます。
「努力量とは裏腹に指摘ばかりをされる」という事実は、モチベーションの低下に大きくつながります。特に、人から指摘を受けることが苦手な人や、自身の努力に対して無意識な見返りを求めがちな人にとって、クライアントからの指摘は大きなストレスを感じる要因にもなるでしょう。
1-3.クライアントからの期待値が高いため
デロイトトーマツは日本における最大級のビジネスプロフェッショナルグループと言われるだけあり、クライアントからの期待値も非常に高くなっています。
「高度な専門知識や知見を有したコンサルタントが在籍しているから、満足のいくソリューションを提示してもらえる」と、大きな期待を寄せて高い単価を支払っているクライアントがいます。こうしたクライアントをがっかりさせないためにも、要望に沿った仕事をこなさなければなりません。
大手コンサルティングファームとしてまっとうな評価を受けている証ではあるものの、期待値を満たせずクライアントからネガティブな意見を受けることによって後悔の念に苛まれる人は意外と多くいます。
1-4.周囲に優秀な人が多く劣等感を抱きやすいため
デロイトトーマツのような大手コンサルティングファームには、いわば「秀才」と呼べるような社員が豊富に在籍しています。
自分よりはるかに優秀だと感じる同期や先輩、上司の仕事ぶりを見て、「自分とはかけ離れている」と劣等感を抱くケースもあるでしょう。連日のプロジェクトで大変な中、優秀な社員に近づくために自己研磨を重ねるものの、その間に優秀な社員もどんどん成長します。
それだけでなく、20代や30代の優秀な後輩が入社することもあり、「このままだとポジションをとられるのでは」と焦りやプレッシャーを感じかねません。自分1人だけが取り残されているかのような秀才ばかりの環境は自信を喪失しやすく、「転職しなければよかった」と考えてしまう一因にもなるでしょう。
2.デロイトトーマツに転職して後悔する人の特徴
デロイトトーマツに転職して後悔する人には、いくつか共通する特徴・傾向があります。なお、共通する特徴・傾向に当てはまっているからと言って、デロイトトーマツへの転職が向いていないというわけではありません。
デロイトトーマツへの転職を検討している人や、「後悔する」という話を聞いて不安を感じている人は、ここから紹介する「後悔する人の特徴」をチェックしておきましょう。あらかじめ後悔しやすい人の特徴・傾向を知っておくことで、転職時の心構えを養えます。
2-1.コンサル・デロイトトーマツへの憧れの強すぎる人
デロイトトーマツへの転職後に後悔しやすい人の大きな特徴は、「コンサルタントという職業そのものやデロイトトーマツへの憧れが強い」というものです。
一般的に、コンサルタントは「年収が高く、華やか」というイメージをもたれがちです。しかし、実際は仮説のためのリサーチやプレゼン資料の作成、データ収集などの地道な作業が多く、新人・若手社員においてはこうした業務がメインとなります。
自身が思い描いていたコンサルタントの理想像と現実との間に発生するギャップが大きいほど、「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性が高まる点に注意が必要です。
2-2.前職での経験を活かせない人
デロイトトーマツをはじめとした大手コンサルティングファームでは、業界・業種によってさらに部門やユニットが分けられており、転職者は前職での経験と親和性の高い部署に配属されるケースが基本です。特に各社員がもつ専門性の有効活用を重要視しているデロイトトーマツでは、こうした傾向が強くなっています。
したがって、前職で得た実務経験や業界知識をうまく活かせない人は即戦力として期待されていただけに評価を落としてしまう可能性もあります。
自身にとっても「前職でスキルや経験を培ってきたはずなのに活躍できなかった」という1つの失敗体験となり、「もっと勉強してから転職すべきだった」と感じてしまう要因にもなります。
2-3.前職での経験に依存しすぎている人
前職での経験を活かせない人はデロイトトーマツへの転職で後悔しやすいとされる一方で、前職での経験に依存しすぎている人もまた後悔しやすいと言われています。
前職で大きな実績をもつ人は、成功事例の多い「既存の知識経験に則ったやり方」に依存する傾向にあります。しかし、コンサルタントはゼロベースで論理的に考えなければならないほか、各業界の新たな知識を常にインプットしなければならない職業です。
前職経験に頼りっぱなしではコンサルタントとして成長できず、経験年数・経歴とは裏腹に顧客や会社からの評価が落ちる可能性もゼロではありません。結果として、「前職では結果を出せていたのになかなか結果につながらない」という考えに陥り、デロイトトーマツへの転職を後悔してしまうおそれがあります。
2-4.自発的に勉強することが苦手な人
前述の通り、コンサルタントは各業界の最新知識をインプットしながら、常に成長していくことが求められる職業です。
特にデロイトトーマツは積極性の高いコンサルタントを求めており、自発的に勉強することが苦手な人や指示のない状態で動くことが苦手な人はキャリアを形成しにくい環境となっています。
自発的に動けない限りキャリアアップを図るのは困難であり、「なかなか出世できない」「仕事環境が自分に合っていない」といった後悔につながるおそれがあります。
3.デロイトトーマツに向いている人の特徴
デロイトトーマツに転職するすべての人が、必ずしも後悔の念に苛まれるとは限りません。
たとえクライアントからの期待値が高いプロジェクトが連日続いても、自身よりも優秀な人材ばかりの環境にいても、転職に対する後悔なくモチベーションを保って働く人は多くいます。どのような環境においても前向きな気持ちで業務をこなせる人は、デロイトトーマツに向いている人と言えるでしょう。
ここからは、デロイトトーマツに向いている人の特徴を詳しく紹介します。
3-1.向上心・責任感のある人
デロイトトーマツのコンサルタントは、常に最新の知識やスキルを習得しながら、自己成長を追求する前向きな姿勢が求められます。
複雑な業務や課題にも積極的に取り組み、プロジェクトチーム全体の成功に貢献できる人にとって、デロイトトーマツは非常に働きやすい環境です。また、上下関係に関係なく誰からも学ぶ素直さ・熱心さをもつ人にも適しています。
こうした向上心をもちながらクライアントが求めるレベルでの成果物を納期までに出せる人は、クライアントからも会社からも高い評価を得られやすいでしょう。
3-2.ポジティブで好奇心のある人
デロイトトーマツでは、幅広い業界のクライアントと接する機会が多くあります。ときには、同時に異なる業界のプロジェクトに参画することもあるでしょう。そのため、クライアントの業界に関する幅広い知識を吸収しつつそれを実践に活かせる人は、多くの成果を出せることによってキャリアアップも図りやすいと言えます。
そして、幅広い業界の専門知識をしっかりと吸収するためには、知的好奇心とポジティブ思考が重要なカギとなります。
そもそもコンサルタントは、仮説検証を繰り返しながらクライアントが抱える課題の有益な解決策を見出すことが仕事です。未知の分野・領域においても、「なぜ?」という好奇心をもつ人は情報の理解・吸収が早いです。また、「自分なら最適な解決策を必ず見つけられる」といったポジティブ思考をもつ人は、プロジェクトの成果に大きく貢献できるでしょう。
3-3.論理的な思考ができる人
複雑な課題に対しても論理的にアプローチしながら、収集したデータや事実にもとづいた分析を行える人は、デロイトトーマツのコンサルタントとして働くことに向いています。
そもそも論理的思考とは、物事を直感的・感覚的に捉えるのではなく、筋道を立てて矛盾や破綻のないよう体系的に整理して考える思考のことです。「ロジカルシンキング」とも言います。
経営課題を抱える顧客に対して説得力のある提案をするためには、明確な根拠と整然としたロジックが欠かせません。どのような状況でも論理的思考をもって最善策を柔軟に導きながらプロジェクトを進められる人は、デロイトトーマツで大いに活躍できるでしょう。
3-4.コミュニケーション能力のある人
デロイトトーマツでは、クライアントやプロジェクトメンバーと常に意思疎通を図りながらプロジェクトの進行を円滑に進めます。
コンサルタントは、クライアント企業の社員や役員と対等にコミュニケーションをとる必要があるほか、ときには言いづらいこともはっきりと伝えなければなりません。だからこそ、クライアントからの信頼を獲得できるほどの高いコミュニケーション能力が必要です。
また、コミュニケーション能力はクライアントとの意思疎通だけではなく、社内会議やチーム内共有においても求められるスキルとなっています。このように、高いコミュニケーション能力はクライアントとの信頼関係の向上や業務の円滑化に大きく資することを覚えておきましょう。
3-5.体力のある人
デロイトトーマツは他のコンサルティング業界と同様、プロジェクトが山場を迎えたときや複数のプロジェクトを並行するときには長時間労働が続くことがあります。さらに、規模が膨大なプロジェクトに携わる際にも長時間労働が避けられません。場合によっては、終電近くまで残業したり休日も出勤したりして、情報収集や資料作成を行う必要があります。
コンサルタントは、頭を使う仕事です。繁忙期に続く長時間の業務に耐えられる体力がなければ思考力の低下や集中力の散漫を起こし、業務効率や成果に影響を及ぼすおそれがあります。反対に、体力があれば業務上の負荷がかかる状況においても高いパフォーマンスを維持したまま仕事に取り組むことが可能です。
4.【転職希望者向け】デロイトトーマツの特徴
デロイトトーマツへの転職を成功させるため、また転職してから後悔しないためには、デロイトトーマツの特徴を深く理解しておくことが大切です。最後に、デロイトトーマツの3つの強みについてそれぞれ分かりやすく説明します。デロイトトーマツへの転職を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
4-1.クライアントと共に進める社会課題解決に向けた取り組み
デロイトトーマツは、単純に総合コンサルティングサービスを提供するだけでなく、クライアントと共に社会課題の解決・社会全体の支援に取り組んでいます。こうした取り組みは、SDGs(持続可能な社会)の構築という観点で進められていることが特徴です。
主軸とされる取り組みテーマとしては、下記の6つが挙げられます。
- サプライチェーンにおける児童労働の撤廃
- 困窮者に対する就労支援
- ジェンダーエンパワーメント
- より持続可能な資源リサイクルシステムの構築
- 再生可能エネルギー主力電源時代のエネルギーインフラの再構築
- 社会課題解決の加速に向けたNPO/NGO支援
出典:デロイト トーマツ グループ「社会課題解決への取り組み
デロイトトーマツは、NPO法人やNGO法人などの非営利団体に対するプロボノ活動にも携わっています。また、企業におけるダイバーシティ&インクルージョンの推進や、災害からの復興支援など、幅広い領域における支援活動も行っていることが特徴です。
4-2.ダイバーシティを重視した経営
デロイトトーマツは、ダイバーシティを重視した経営方針が採用されており、社員一人ひとりがもつ多様なバックグラウンドやスキルを尊重していることが特徴です。ダイバーシティとは、直訳で「多様性」を意味する言葉であり、性別や人種、価値観、宗教などの異なる属性をもった人々が組織や集団で共存している状態を指します。
近年では、ダイバーシティと「包括」「一体性」を意味するインクルージョンを組み合わせたダイバーシティ&インクルージョン(DI)が注目されています。デロイトトーマツでは、さらに「公平性」「公正性」を意味するエクイティを組み合わせたダイバーシティ&エクイティ&インクルージョン(DEI)を重要視していることが特徴です。
ダイバーシティ&エクイティ&インクルージョンを推進することで、一人ひとりの社員がもつさまざまなポテンシャルが発揮され、結果としてサービスの質も向上すると考えられています。
4-3.充実した育成プログラム・コーチングの仕組み
デロイトトーマツでは、社員の成長支援に向けた育成プログラムやコーチングの仕組みが充実しています。
デロイトトーマツは「ピープルファースト」というコンセプトにもとづき、「個々がもつ潜在的な才能を含むスキルを最大限に引き出すこと」に重きを置いています。
また、「コンサルティングファームで働く人々は、周囲のプロフェッショナルからの学習が大きな成長のインプットになる」と考えている点が特徴です。その考えにもとづき、コーチングの仕組みとして「Check In」という制度を設けています。
Check In制度とは、プロジェクト単位でのコーチングと定期的なフィードバックを通じて、社員が自身の目標に向けて成長できるようサポートする制度です。これにより、社員は目指すべきキャリアに向けて常に自身のスキルを高められるようになります。
まとめ
「就職・転職難易度が高いと言われているデロイトトーマツに晴れて入社できたものの、実際に勤務してから転職を後悔した」と感じる人は少なからず存在します。
特に、デロイトトーマツでのコンサル業に対する憧れが強い人や自発的に学ぶのが苦手な人は、転職を後悔しやすい傾向です。反対に、向上心や責任感のある人・好奇心のある人などはやりがいを感じることも多く、「デロイトトーマツに転職して良かった」と思えるケースも多々あるでしょう。
デロイトトーマツへの転職で後悔しないためにも、企業説明会や面接などを通じて実際に働き方や社風をチェックすることをおすすめします。