EYストラテジー・アンド・コンサルティングの強みや特徴を徹底解説
EY(アーンスト・アンド・ヤング)は、世界4大会計事務所の1つであり、世界各国で会計、税務、コンサルティング、ストラテジー、トランザクションなどのプロフェッショナルサービスを提供するグローバル企業です。
日本では、EY Japanとして活動しており、各サービスラインにおいて専門性の高いメンバーファームが連携してサービスを提供しています。EY Japanに属するコンサルティングファームが「EYストラテジー・アンド・コンサルティング」です。
当記事では、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの強みや、転職難易度について紹介します。
1. EYストラテジー・アンド・コンサルティングとは?
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、EY Japanの一員であり、経営コンサルティングと戦略的トランザクション支援サービスを提供する企業です。
EY Japanは、世界4大会計事務所の1つであるEYの日本におけるメンバーファームの総称です。
1-1. EYストラテジー・アンド・コンサルティングの事業内容
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、企業の成長と発展を支援するために幅広いコンサルティングサービスを提供している企業です。
主な事業内容としては、戦略立案、M&Aの支援、デジタル変革、リスク管理などがあります。具体的には、市場や競合分析、顧客調査を通じた成長戦略の策定、新規事業戦略、組織再編、テクノロジーの導入支援などを行っています。サービスを提供しているセクターも、金融、医薬医療、テクノロジー、自動車、消費財などさまざまです。
また、デジタル技術の活用を促進し、クライアントのデジタル変革を推進するための戦略的アプローチも取り入れています。AI、データアナリティクス、サイバーセキュリティといった最新テクノロジーを用いて、企業の競争力強化と持続可能な成長の実現をサポートしています。
1-2. EYストラテジー・アンド・コンサルティングの歴史
EYの歴史は1849年に設立された会計事務所にまで遡ります。1903年と1906年にはアーンスト・アンド・アーンスト、およびアーサー・ヤングが設立され、これらは1989年に合併してアーンスト・アンド・ヤング(EY)が誕生しました。
2000年にコンサルティング部門を売却後、2010年に日本でEYアドバイザリー株式会社が設立されます。2017年には関連企業が統合され、2020年にはさらにEYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社と統合し、現在のEYストラテジー・アンド・コンサルティングとなっています。これにより、戦略コンサルティングとトランザクションサービスの分野が強化されました。
2. EYストラテジー・アンド・コンサルティングの強みと特徴
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、社員一人ひとりの成長を支援し、長期的なキャリア形成をサポートすることで、顧客に最高品質のサービスを提供し続けることを目指しています。
以下では、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの強みと特徴を5つ紹介します。
2-1. 戦略・M&A系部門が強い
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの中でも、特に影響力がある戦略コンサルティングチームとして「EYパルテノン」が挙げられます。EYパルテノンは、戦略立案とM&Aにおいて高い専門性と実績を有しており、120か国以上の国と地域で9,000人を超えるプロフェッショナルが所属しているチームです。企業戦略、トランザクション戦略、ターンアラウンド戦略をはじめ、地政学戦略やデジタル戦略など、広範囲にわたる複雑なビジネス課題に対応しています。
EYパルテノンの強みの1つは、最新のデータアナリティクスと先端テクノロジーを活用し、迅速かつ実行可能な戦略をクライアントに提供する能力です。また、戦略的株主エンゲージメント支援や企業価値向上のためのスピンオフの活用支援など、さまざまなソリューションを展開しており、企業の長期的な成長と価値創造をサポートしています。
2-2. 顧客基盤が盤石である
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、EY Japanのグループ内に「EY新日本有限責任監査法人」を擁していることが、顧客基盤の盤石さを支える大きな強みとなっています。
EY新日本有限責任監査法人は、日本を代表する大企業から新興企業まで、幅広い業界・規模の企業を顧客としています。幅広い顧客基盤は、EYストラテジー・アンド・コンサルティングがコンサルティングサービスを提供する際の潜在顧客層としても大きなアドバンテージです。
また、監査業務を通じて築かれた信頼関係は、コンサルティングサービスの導入検討においても、同様にアドバンテージとなります。監査業務を通じて得られた企業の財務状況や内部統制に関する深い理解も、コンサルティングサービスの質を高める上で非常に大切な情報です。
2-3. 世界的にブランド力が確立している
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、世界中のクライアントから信頼されるビジネスパートナーとして、その地位を確立しています。EYは、世界4大会計事務所の1つとして、長年にわたり高い専門性と信頼性を築いてきました。この信頼は、当然同じグループである、EYストラテジー・アンド・コンサルティングに対しても同様に寄せられ、顧客からの信頼を獲得しやすい環境です。
また、EYのブランド力は、優秀な人材を引きつける魅力的な要素の1つです。世界中から集まる多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材は、EYストラテジー・アンド・コンサルティングのサービスの質を高め、競争力を強化します。実際、EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、人材を最も重要な資産と捉え、継続的な投資を行っています。
2-4. コラボレーションのカルチャーが根付いている
EYストラテジー・アンド・コンサルティングでは、コラボレーションのカルチャーが大きな強みとして根付いているのが特徴です。これは単なる業界のスローガンではなく、EYが他の企業と差別化を図るために、実際に重視している価値観です。
コラボレーションのカルチャーは、クライアントの課題に対し、多角的な視点からアプローチすることを可能にし、異なる専門分野のプロフェッショナルが一丸となって解決策を提供します。
具体的には、経営、ファイナンス、トランザクションのアドバイスなど、多岐にわたるサービスを統合的に提供することで、クライアントのニーズに対応することが可能です。社内でのセクターや地域を超えたチーム構築を促進し、国内外のオフィスとスムーズに連携できる環境を整備しています。
また、コラボレーションが浸透している協調的な環境は、個々のコンサルタントが自身のスキルと知識を最大限に発揮し、プロジェクトの成功率を高める要因にもなっています。
2-5. アップ・オア・アウトのようなシステムがない
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、外資系コンサルティング会社にありがちな「アップ・オア・アウト」のような、昇進できなければ退職を迫られるシステムは導入していません。
アップ・オア・アウトとは、一定期間内に昇進できない場合、退職を促される制度です。この制度は、常に高いパフォーマンスを維持し、優秀な人材を確保することを目的としていますが、同時に、社員に過度なプレッシャーを与え、離職率を高める要因ともなります。
3. EYストラテジー・アンド・コンサルティングの社風
EYのパーパスは、「Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)」です。
以下では、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの社風を2つ紹介します。
3-1. お互いを尊重して協力し合う
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの社風は、「Building a better working world」を体現しており、お互いを尊重し、協力し合うことを重視しています。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まる組織です。性別、年齢、国籍、文化、経験など、さまざまな違いを尊重し、互いに学び合いながら、より良いチームワークを築いています。この社風は、社員一人ひとりの成長を促し、チーム全体の力を最大限に引き出すことにつながっています。
3-2. グローバルな連携を強化する
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、世界中のEYメンバーファームと連携し、グローバル規模のプロジェクトに参画する機会が豊富にあります。海外の最新事例やベストプラクティスを学べる環境です。
また、海外のEYメンバーファームから人材を受け入れるだけでなく、日本からも積極的に人材を派遣しているのも特徴です。国境を越えた人材交流を通じて、多様な価値観や考え方を共有し、相互理解を深めています。
4. EYストラテジー・アンド・コンサルティングの業績
EYの2023年6月末終了の会計年度の業績は、全世界における業務収入は494億米ドル・前期比14.2%増(米ドルベースでは9.3%増)であり、過去最高の売上を達成しています。
出典:EY Japan「EY、2023年度グローバル業務収入は過去最高の500億米ドル弱」
また、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社の2023年決算の売上高は983億5832万円です。
以下では、EYの成長を支えた成長戦略である「プロジェクト・ドラゴン」について紹介します。
4-1. EYの成長を支えた成長戦略「プロジェクト・ドラゴン」
「プロジェクト・ドラゴン」とは、EY Japanが2019年に開始した成長戦略です。競合他社と比較して小規模で市場シェアも低かった同社の戦略・オペレーションコンサルティング部門の強化が目的の1つでした。プロジェクト・ドラゴンの中核となったのは、戦略コンサルティング部門の組織的能力の向上と、各セクターにおける専門知識を持った人材の採用です。
2020年には、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの設立により、法人間のコラボレーションがより促進され、全員が同じKPIのもとで作業を進める体制が確立されました。コンペでの勝率も向上し、短期間で売上成長率も大きく伸びたことにつながっています。
組織の機動性と、内部の垣根が低い環境が、迅速な意思決定と成長を支える大きな要因となっています。
5. EYストラテジー・アンド・コンサルティングで働く魅力
EYストラテジー・アンド・コンサルティングで働く魅力は多岐にわたります。たとえば、独自の成長戦略「プロジェクト・ドラゴン」に携わることができる点も、1つの魅力でしょう。
以下では、5つの魅力を取り上げて紹介します。
5-1. 他社と異なる成長戦略で一緒に成長できる
独自の成長戦略「プロジェクト・ドラゴン」を推進するEYストラテジー・アンド・コンサルティングは、他社とは異なるアプローチで市場にアプローチしており、従業員は新しいチャレンジや創造的な解決策を求める環境で働くことができます。また、組織の統合と拡大に伴い、コンサルタントとしてのスキルやキャリアパスも多様化しています。戦略の策定から実行に至るまでの全プロセスに関わることで、実践的な経験を積むことが可能です。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングで働くことの魅力は、ただの仕事を超え、自己の成長とともに会社の成長も実感できる点にもあります。自身のキャリアを積極的に形成していきたいと考えるプロフェッショナルな方にとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
5-2. パーパス(存在意義)に対する本気度が圧倒的に高い
EYは、「Building a better working world」というパーパスを掲げており、日々の業務における具体的な行動指針となっています。従業員は、資本市場と世界経済の信頼を築き上げることに貢献し、持続可能な成長を実現するために、日々努力しています。
また、EYは新しい技術やイノベーションに積極的に投資することで、データ侵害と戦うデジタル専門家の支援、新治療法の開発への貢献など、さまざまな社会問題解決に取り組んでいます。このように、EYやEYストラテジー・アンド・コンサルティングでの仕事は、単にビジネスの成果を追求するだけでなく、広い意味で世界を良くするという意義を持ちながら働けるでしょう。
5-3. 年収の水準が高い
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの年収水準としては、主に以下の通りです。
役職 | 給与 |
---|---|
コンサルタント | 550万円~700万円 |
シニアコンサルタント | 700万円~1,000万円 |
マネージャー | 1,000万円~1,300万円 |
シニアマネージャー | 1,300万円~1,500万円 |
ディレクター | 1,500万円~2,000万円 |
アソシエイトパートナー | 1,800万円~2,500万円 |
パートナー | 2,500万円~ |
このように一般的な平均年収と比較しても、圧倒的に年収が高い点は魅力でしょう。
5-4. チャレンジできる環境が整っている
EYストラテジー・アンド・コンサルティングでは、社員が常に新しいことに挑戦し、成長できる環境が整っています。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、多岐にわたる業界・分野において、戦略策定から実行支援まで幅広いプロジェクトを手掛けています。社員は、自身の興味やスキルに合わせたプロジェクトに参画し、さまざまな経験を積むことが可能です。
また、若手社員であっても、プロジェクトの重要な役割を担う機会が与えられます。責任ある立場でクライアントの課題解決に貢献することで、大きなやりがいを感じられます。
5-5. オファーをもらえる可能性が高い
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、事業拡大やプロジェクト・ドラゴンの推進に伴い、積極的に採用活動を行っています。
新卒・第二新卒、キャリア採用をはじめ、幅広い層からの採用を行っています。採用を強化しているタイミングでは、選考プロセスも突破しやすくなるため、うまく選考が進めば、オファーをもらえる可能性も比較的高いと言えるでしょう。
6. EYストラテジー・アンド・コンサルティングが求める人材
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、特に以下の3つの特性を持った人材を積極的に求めています。
・革新的な思考をもてる人材
既存のビジネスモデルやプロセスに疑問を投げかけ、創造的な解決策を提案できる能力を指します。EYストラテジー・アンド・コンサルティングでは、革新的なアプローチも時に求められ、新しいアイディアや技術を用いてクライアントの抱える複雑な問題を解決することが期待されています。
・分析的な思考をもてる人材
データを深く掘り下げ、精密な分析を行い、洞察を導き出す能力が必要です。EYストラテジー・アンド・コンサルティングでは、データドリブンな意思決定を推進し、それによって高品質なサービス提供を目指しています。
・グローバルな思考をもてる人材
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは世界各国に拠点を持ち、多文化で多様な背景を持つチームが共同でプロジェクトを進めます。異なる文化や市場に対する理解と適応能力が求められ、国際的な視野を持って業務に取り組める人材が望まれています。
上記以外にも、EYのカルチャーやパーパスである「Building a better working world」に共感し、それを実現するための一員として行動できることが大切です。
7. EYストラテジー・アンド・コンサルティングの選考
最後に、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの選考プロセスや、転職難易度について紹介します。EYストラテジー・アンド・コンサルティングへの転職を検討している方は必見です。
7-1. EYストラテジー・アンド・コンサルティングの選考プロセス
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの選考では、面接が複数行われます。一例としては、下記表の通りです。
1 | 応募 |
---|---|
2 | 書類選考 |
3 | 1次面接 |
4 | 2次面接 |
5 | 最終面接 |
6 | 内定・採用条件提示 |
職種にもよりますが、面接において、グループワークが課される割合が高い点も特徴として挙げられます。
7-2. EYストラテジー・アンド・コンサルティングの転職難易度
採用を強化しているとはいえ、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの転職難易度は高い傾向があります。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、高度な専門知識とコンサルティング経験を持つ人材を求めています。戦略策定、業務改革、IT導入など、特定の分野における深い知識と経験が求められるため、未経験者や経験の浅い方にはハードルが高いでしょう。また、知名度が高く、魅力的な職場として人気を集めているため、多くの応募者が集まります。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングへの転職に成功するには、グループディスカッション対策や企業研究などをしっかり行いましょう。EYストラテジー・アンド・コンサルティングの事業内容、企業文化、強みなどを深く理解しておくことで、面接での質疑応答に自信を持って臨めます。
まとめ
EYストラテジー・アンド・コンサルティングでは、チームワークと個人の成長を重視した支援体制が整っており、コンサルタントとしてのキャリアを積みながら、社会的な価値を創出する仕事に取り組むことができます。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングへの転職は決して容易ではありませんが、採用を強化しているのも事実です。ケース面接やフェルミ推定など、コンサルティング特有の面接形式に慣れておくことも大切です。